MENU

氷の城壁の五十嵐とは何者?小雪との関係や登場エピソードを解説

当ページのリンクには広告が含まれています。
中学時代の氷川小雪と五十嵐翼が互いに違う方向を向きすれ違いを象徴する青春ドラマ風の場面

『氷の城壁』の五十嵐翼は、小雪の中学時代の元彼であり、彼女が人との距離に慎重になった過去を読み解く重要人物です。

二人の破局は単純な「五十嵐がひどかった」で終わる話ではなく、恋愛への温度差、周囲の冷やかし、言葉にできない本音、五十嵐の見栄が積み重なった結果でした。原作第86話「視点A・B」と第87話「緩解」まで読むと、その関係がまったく違って見えてきます。

※この記事には『氷の城壁』原作10巻までの重要なネタバレを含みます。

目次

『氷の城壁』の五十嵐翼とは何者?

五十嵐翼は、氷川小雪と安曇美姫の中学時代の同級生で、サッカー部に所属する男子です。

そして小雪にとっては、ただの昔の同級生ではありません。中学時代に交際していた元彼なんです。

人付き合いが得意で友人も多く、周囲の中心に入りやすいタイプ。一方で、思ったことをそのまま口にしやすく、相手の気持ちへの配慮が足りなくなる一面があります。

この「悪気のなさ」と「デリカシーのなさ」が同居しているのが、五十嵐というキャラクターの難しいところなんだよね!

物語の序盤では、小雪の反応や記憶を通して五十嵐を見ることが多いため、読者からするとどうしても「小雪を傷つけた元彼」という印象が強くなります。

でも、原作10巻まで読むと評価はかなり複雑になります。

五十嵐は小雪をからかうためだけに近づいたわけでも、最初から軽い気持ちだけで付き合ったわけでもありません。

五十嵐自身は、本気で小雪を好きだった。

それなのに、結果的には小雪を深く傷つけてしまった。

ここがめちゃくちゃ大事です。

「好きだった」と「傷つけた」は両立します。

恋愛漫画では、ときどき「本当は好きだった」と分かれば過去の問題まで帳消しになる展開がありますよね。

でも『氷の城壁』は、そんなに簡単には処理しません。

五十嵐の好意が本物だったことと、小雪がつらい思いをしたことは別の問題として描かれるんです。

僕はこの描き方こそ、『氷の城壁』がただの青春ラブコメではなく、人間関係そのものを丁寧に描く作品だと感じる理由の一つだと思っています。

五十嵐について先に整理すると、押さえておきたいのは次の点です。

  • 小雪と美姫の中学時代の同級生
  • サッカー部に所属
  • 小雪とは中学時代に交際していた
  • 社交的で友人が多い
  • ずけずけ物を言い、配慮に欠けるところがある
  • 小雪への好意そのものは本気だった
  • 原作第86話・第87話で中学時代の関係が詳しく掘り下げられる
  • アニメ版の声優は小林千晃さん

五十嵐を単純な悪役にしないこと。

でも同時に、小雪が傷ついた過去を軽く扱わないこと。

この二つを同時に成立させているところが、五十嵐編の面白さなんじゃないかな!

五十嵐と小雪はなぜ別れた?交際から破局までを解説

結論からいうと、五十嵐と小雪は最初から恋愛に対する気持ちの温度が同じではなく、周囲の冷やかしやコミュニケーション不足が重なった末、五十嵐の見栄から出た言葉が大きな決定打となって別れます。

「一つの事件だけが原因」というより、小さなズレが積み重なって限界に達したと考えると分かりやすいです。

五十嵐は小雪を本気で好きになっていた

原作第86話「視点A・B」では、中学時代の出来事が五十嵐側からも描かれます。

五十嵐は小雪のことを最初から嫌っていたわけではありません。

むしろ、見た目や雰囲気をきっかけに気になる存在として意識し、何気ない接点を重ねる中で好意を強めていきます。

ここで重要なのは、小雪と五十嵐の恋愛は「嫌いな相手に無理やり付きまとわれた」という単純な構図ではなかったということ。

五十嵐からすれば、

「気になる」

「もっと話したい」

「好きになった」

「付き合えてうれしい」

という、ごく自然な恋愛の流れだったわけです。

ところが小雪の側から見ると、同じ出来事でも意味が違います。

これが第86話のタイトル「視点A・B」にもつながっているように感じます。

同じ出来事でも、立っている場所が違えば見え方はまったく違う。

『氷の城壁』はこのズレをものすごく丁寧に描いているんですよね。

小雪は五十嵐と同じ熱量で恋愛を始めていない

一方の小雪は、五十嵐から好意を向けられたとき、同じ勢いで「私も大好き」と進んだわけではありません。

当時の小雪は、自分の気持ちを言葉にすることが苦手でした。

嫌なのか。

うれしいのか。

戸惑っているのか。

もう少し距離を取ってほしいのか。

そうした感情をその場で整理して相手へ伝えることが難しい。

そのため、自分の本音よりも「相手がそうしたいなら」「周囲がそう思っているなら」と、外側に合わせてしまいやすいんです。

僕はこの交際を、小雪が強く望んで始めた恋愛というより、相手の期待にどう応えるべきか分からないまま進んでしまった関係に近いと読んでいます。

ここで二人のスタート地点は、すでに少しずれていました。

五十嵐は「好きな子と付き合えた」。

小雪は「好かれている自分がどう振る舞えばいいのか分からない」。

この違いは小さいようで、後からかなり大きく響いてきます。

二人の認識差を整理すると、こんな感じです。

ポイント 五十嵐側 小雪側
交際の始まり 好きな相手と付き合えてうれしい 相手の好意にどう応えるか戸惑う
距離の縮め方 好きだから積極的に近づく 急に近づかれることが負担になる
周囲の反応 恋愛をからかわれる程度の感覚 自分へ注目が集まること自体が苦しい
恋人関係 気持ちはある程度通じていると思う 本音を言えず相手に合わせてしまう

もちろん、これは作中の描写を整理した僕なりの解釈です。

でも、このズレを意識すると、なぜ二人の関係がうまくいかなかったのかがかなり見えやすくなります。

周囲の冷やかしが小雪をさらに追い詰める

二人の距離が近づけば、周囲も当然気づきます。

「あいつ、小雪のこと好きなんじゃない?」

そんな空気ができるだけで、本人たちの恋愛が本人たちだけのものではなくなっていく。

思春期では珍しくない光景だよね。

でも小雪にとっては、これがかなり苦しい。

小雪はもともと、人からどう見られているかを強く意識してしまうタイプです。

誰かと付き合うことで、

見られる。

反応を確認される。

恋人らしく振る舞うことを期待される。

二人の関係について周囲が勝手に盛り上がる。

そんな状況になると、恋人との関係だけではなく、クラス全体から視線を浴びているような感覚になってしまいます。

五十嵐からすると「好きな子と付き合っている」だけでも、小雪にとっては人間関係の環境そのものが変わる出来事だったと考えられるんです。

この差はかなり大きい。

僕は、二人の別れを「小雪が五十嵐を嫌いになったから」で片づけると、この作品の大事な部分を取りこぼしてしまうと思っています。

五十嵐の見栄から出た言葉が決定打になる

そして破局の大きなきっかけとなるのが、五十嵐が友人の前で見栄を張り、小雪を軽く扱っているように聞こえることを口にしてしまう場面です。

これが本当に痛い。

五十嵐は小雪を嫌っていたわけではありません。

むしろ好きだった。

でも思春期特有の格好つけや周囲への意識が勝ち、自分の本音とは違う言葉を出してしまう。

五十嵐本人の中では、その場をやり過ごすための虚勢だったのかもしれません。

でも小雪にはそんな事情は見えません。

聞こえるのは、恋人である自分を軽く扱っているような言葉だけ。

しかも、それまでにも小雪の中には、

「この距離感でいいのかな」

「恋人ってこうしないといけないのかな」

「周りに見られるのがつらい」

という小さな違和感が積み重なっていました。

だからこの言葉は、突然すべてを壊した一発というより、積み重なっていた亀裂を決定的に広げた一言と見る方が近いと思います。

五十嵐は小雪を好きだった。

しかし、その好きという感情を小雪が安心できる形で届けられなかった。

ここが二人の関係の最大の問題なんですよね。

※画像はAIによるイメージ

第86話「視点A・B」で五十嵐の印象はどう変わる?

原作10巻に収録されている第86話「視点A・B」は、五十嵐というキャラクターを見る目が大きく変わるエピソードです。

10巻には第83話から第90話までが収録されており、第86話と第87話では小雪と五十嵐の過去が重要な形で掘り下げられます。

第86話のポイントは、五十嵐を「実はいい人だった」とひっくり返すことではありません。

大事なのは、小雪から見えていた出来事と、五十嵐から見えていた出来事の両方を示すことです。

小雪側から見ると、五十嵐との中学時代は苦い記憶です。

距離を詰められる。

周囲に見られる。

期待される。

自分の本音が言えない。

最後には傷つく言葉を聞いてしまう。

これだけなら、五十嵐はかなり嫌な人物に見えます。

でも五十嵐側を見ると、

小雪を気にしていた。

話せるようになってうれしかった。

付き合えたこともうれしかった。

という感情が存在しています。

つまり、彼の好意そのものは嘘ではありませんでした。

ただし、ここを間違えてはいけません。

好意が本物だったからといって、小雪が傷ついた事実が消えるわけではないんです。

このバランス感覚がすごいんですよね!

誰かを傷つけた人に事情があった。

だから被害を受けた側が全部許さなければいけない。

そういう話ではありません。

反対に、「傷つけたから好意も全部嘘だった」と決めつけるわけでもない。

五十嵐も不器用だった。

小雪も自分の気持ちを伝えられなかった。

でも、二人が同じだけ悪かったと単純に均等化する話でもありません。

それぞれがそれぞれの視点で見ていた現実があり、そのズレによって関係が壊れた。

僕は第86話を、そんな人間関係の怖さを描いたエピソードだと感じています。

「視点A・B」というタイトルが意味するもの

タイトルの「視点A・B」もかなり象徴的です。

僕たちは誰かとのトラブルが起きると、つい「どちらが正しいのか」を決めたくなります。

でも、人間関係って本当にそんな単純じゃない。

Aから見た事実。

Bから見た事実。

起きた出来事そのもの。

この三つが完全には一致しないことがあります。

五十嵐は「ちゃんと好きだった」と思っている。

小雪は「傷つけられた」と感じている。

どちらも嘘ではありません。

このズレこそが『氷の城壁』らしさなんですよね。

個人的には、五十嵐編の価値は彼を救済することではなく、読者自身にも「自分が見えている相手だけが、その人の全部ではない」と気づかせることにあると思っています。

第87話「緩解」で小雪と五十嵐はどうなる?

続く第87話「緩解」では、高校生になった小雪と五十嵐が再会します。

この回で大切なのは、二人が昔の恋愛をやり直すことではありません。

過去の出来事を、今の自分たちの位置から見直すことです。

小雪と五十嵐は偶然再会し、会話をする流れになります。

中学時代の小雪を考えると、これはかなり大きな変化です。

当時なら、五十嵐と向き合って過去を話すなんて、相当つらかったはず。

でも高校生になった小雪は、美姫、湊、陽太たちと過ごす中で少しずつ変わっています。

人と関わる。

傷つく。

誤解する。

でも、それでも言葉を交わす。

そんな経験を積んできたからこそ、過去から逃げるだけではなく、五十嵐と話せるようになっています。

小雪自身も過去の自分を見直す

第87話が優れているのは、五十嵐だけが反省する構図になっていないところです。

小雪もまた、当時の自分が五十嵐へ本音を伝えられていなかったことに向き合います。

相手に合わせてしまったこと。

恋人らしく振る舞おうとしたこと。

言いたいことを言えなかったこと。

そして自分自身も相手を傷つけるような言葉を口にしてしまったこと。

そうした過去を振り返るんです。

ただし、これも「小雪にも悪いところがあったから五十嵐と同罪」という話ではありません。

ここで描かれているのは、責任の割合を採点することではなく、現在の自分が過去をどう理解し直すかなんじゃないかな。

「私はこう思っていた」

「あなたはそう思っていた」

「だから噛み合っていなかったんだ」

そのことが分かるだけでも、過去の記憶の意味は変わります。

「緩解」は忘却ではない

第87話のタイトルは「緩解」です。

この言葉の選び方が、ものすごく『氷の城壁』らしい。

過去が完全に消えるわけじゃない。

傷がなかったことにもならない。

五十嵐との出来事が美しい青春の思い出に変換されるわけでもありません。

でも、ずっと心を締めつけていたものが少しだけ弱くなる。

僕はこの回を、そんなエピソードだと感じています。

過去を乗り越えることって、すべてを許すことでも忘れることでもないんですよね。

「あのときの自分には、ああ見えていた」

「今なら別の角度からも見られる」

そう思えるだけでも、過去との距離は変わります。

第87話で小雪が得たのは、五十嵐との恋愛関係ではありません。

過去を自分の中で整理し直すための余白なんじゃないかな。

アニメ『氷の城壁』の五十嵐は何話に登場?声優は小林千晃

アニメ版で五十嵐翼が小雪の過去に関わる人物として大きく登場するのは、第4話「不可侵」です。

この回では、小雪との距離をもっと縮めたい雨宮湊と、自分の内側へ踏み込まれることに戸惑う小雪のすれ違いが描かれます。

そこへ現れるのが五十嵐です。

五十嵐はサッカー部の合同練習で、小雪たちが通う明天高校へやって来ます。

そして湊は、五十嵐が小雪の中学時代の同級生だと知り、小雪のことを知っているか尋ねます。

この場面、かなり重要なんですよ!

湊は小雪のことをもっと知りたい。

五十嵐は小雪の過去を知っている。

でも小雪本人は、自分が話していない過去まで勝手に知られることを望んでいるわけではない。

つまり第4話は、単なる「元彼登場回」ではありません。

相手を知りたい気持ちは、どこまで相手の領域へ踏み込んでいい理由になるのか。

そんな作品全体のテーマまで見えてくる回なんです。

「不可侵」というタイトルも意味深だよね。

人には、まだ触れてほしくない場所があります。

好きだから。

心配だから。

もっと理解したいから。

そう思っていても、相手の境界線を無視していいわけではありません。

五十嵐の登場によって、湊もまた「距離の詰め方」を問われることになります。

五十嵐翼の声優は小林千晃

アニメ版で五十嵐翼を演じるのは小林千晃さんです。

五十嵐というキャラクターは、声がつくことでかなり印象が変わりやすい人物だと思います。

台詞だけ切り取れば、無神経に見える場面もあります。

でも五十嵐には、

思春期らしい強がり。

根拠のない自信。

友人の前で格好をつけたい気持ち。

裏表の少ない感情表現。

相手のことを考えているつもりで、自分の基準から抜け出せない未熟さ。

こうした複数の面があります。

演じるうえでも、単なる嫌な人物にはせず、小雪にとってつらい記憶につながる存在でありながら、友達が多い理由も感じられる人物像が意識されています。

これは原作第86話まで読むと、かなり納得できるポイントです。

五十嵐は悪意だけで行動しているわけじゃない。

むしろ本人の感覚では、「普通に恋愛している」つもりだった可能性が高い。

でも、その普通が小雪にとっても普通だとは限りません。

自分にとって心地いい距離と、相手にとって心地いい距離は違う。

五十嵐は、そのことに気づくのが遅かったんですよね。

アニメ第1期と第2期の放送情報

TVアニメ『氷の城壁』第1期は、2026年4月2日に放送が始まり、全14話で展開されました。

そして第2期は、2026年10月1日から毎週木曜23時56分よりTBS系28局で全国同時放送予定です。

Netflixでは10月2日から先行配信が予定されており、ほかの動画配信サービスでも順次配信されます。

第2期のオープニングテーマはTHE BEAT GARDEN「エスコート」、エンディングテーマはSuperfly「花蔭」です。

放送日時や配信スケジュールは変更される場合があるため、視聴時には最新の条件を確認しておくと安心です。

※画像はAIによるイメージ

五十嵐と湊は何が違う?小雪の「壁」から考察

ここからは僕なりの考察です。

五十嵐と雨宮湊を比べると、つい、

「五十嵐は悪い元彼」

「湊は小雪を理解してくれる理想の相手」

と整理したくなります。

でも僕は、そこまで単純ではないと思っています。

実は湊も序盤では、小雪との距離をかなり積極的に縮めます。

一人でいたい小雪へ話しかける。

もっと知りたいと思う。

内側へ入ろうとする。

自分が親しくなりたいという気持ちを優先する。

この部分だけ見れば、五十嵐と似ているところもあるんですよね。

では、何が違うのか。

僕が大きな差だと思うのは、相手の反応を知ったあとに、自分の考えや接し方を更新できるかどうかです。

湊も間違えます。

小雪を傷つけることもあります。

小雪だって湊を誤解します。

でも高校生活では、失敗したあとに相手の考えを知り、自分の理解を修正していく場面があります。

「自分にはこう見えていた」

「でも相手には違って見えていた」

そこから関係を作り直していくんです。

中学時代の五十嵐と小雪には、そのやり直しがうまくできませんでした。

一番変わったのは小雪自身

ただし、五十嵐と湊の違いだけで説明すると、もう一つ大事なことを見落とします。

一番変わったのは小雪自身です。

中学生の小雪は、嫌なことがあってもその場で言葉にできませんでした。

相手に合わせる。

我慢する。

その場をやり過ごす。

そして限界になれば、関係そのものから離れる。

そんな形で自分を守っていた部分があります。

高校では、美姫、湊、陽太たちとの関係を通じて、小雪は少しずつ「相手に伝える」という選択肢を身につけていきます。

これが第87話で五十嵐と話せることにつながっている。

つまり、

「五十嵐ではダメだったけど湊なら大丈夫」

だけではないんです。

小雪自身が、昔よりも自分の境界線を言葉で示せるようになっている。

ここが本当に重要だと思います。

『氷の城壁』というタイトルからは、「心の壁は壊すべきもの」と考えたくなります。

でも実際には、壁そのものが悪いわけじゃないんですよね。

人には境界線が必要です。

触れてほしくないこと。

話したくないこと。

今はまだ入ってほしくない場所。

それを持つこと自体は自然です。

問題なのは、

壁が高すぎて誰とも関われなくなること。

あるいは逆に、相手の壁を無視して勝手に踏み越えること。

中学時代の小雪と五十嵐は、その距離の調整ができなかった。

高校生になった小雪は、ただ閉じるのではなく、

「ここまでは話せる」

「それは嫌だった」

「私はこう思っている」

と少しずつ境界線を動かせるようになっています。

僕は、第87話の五十嵐との再会は、その成長を確認するためのエピソードでもあると思っています。

五十嵐との再会は復縁のためではない

第86話・第87話まで読んでも、五十嵐と小雪が昔の恋人関係へ戻るわけではありません。

ここははっきりしておきたいところです。

二人が取り戻したのは恋愛ではなく、過去を正しく見直せる距離感です。

昔の誤解が解けた。

だからもう一度付き合う。

そんな単純な恋愛イベントにはならない。

これが『氷の城壁』らしいんですよね。

小雪にとって必要だったのは、五十嵐ともう一度恋をすることではなく、

「あの出来事には自分から見えていなかった面もあった」

と知ることでした。

そして同時に、

「それでも自分がつらかったことは、つらかった」

と認めること。

相手の事情を理解することと、自分の傷を否定することは別です。

この両立こそ、五十嵐編で僕が一番好きなところです。

五十嵐翼はなぜ重要?「悪役ではない元彼」が作品にもたらす意味

僕が五十嵐を重要人物だと思う最大の理由は、小雪の過去を説明するだけの装置ではないからです。

普通の恋愛作品なら、「ヒロインを傷つけた元彼」は主人公側の恋愛を盛り上げるための悪役として使われることもあります。

でも五十嵐は違う。

彼には彼なりの好意がありました。

幼さもあった。

周囲に格好をつけたい気持ちもあった。

相手のことを考えているつもりでも、自分の基準でしか考えられていないところもあった。

つまり、ものすごく現実的なんです。

完全な悪人ではない。

でも相手を傷つけてしまう。

これって人間関係では普通に起こりますよね。

「悪意がなければ許される」

わけでもない。

「傷つけたなら全部悪意だった」

わけでもない。

この中間を描けるから、五十嵐編はリアルなんだと思います。

「理解する」と「許す」は同じではない

五十嵐編から見えてくるもう一つのポイントは、相手を理解することと、相手の行為を全面的に肯定することは違うということです。

小雪は後から五十嵐側の事情を知ることになります。

でも、それによって中学時代の苦しさが消えるわけではありません。

これは読者にとっても大事な視点だと思います。

昔傷つけられた相手に、後から事情があったと分かった。

それでも、

「あのとき自分が傷ついたことまで間違いになるわけじゃない」

んですよね。

相手の事情を知る。

自分の気持ちも認める。

その両方を持っていい。

僕は、第87話「緩解」が描いているのは、まさにそんな状態なんじゃないかと感じています。

過去を知る人物だからこそ、小雪の成長が見える

五十嵐は小雪の中学時代を知っています。

だからこそ、高校生になった現在の小雪と並べたとき、変化がものすごく分かりやすい。

昔の小雪は言えなかった。

今の小雪は少しずつ言える。

昔は関係を断つしかなかった。

今は相手と話して整理できる。

昔は「自分が嫌われた」と一方向に解釈していた出来事も、今なら違う角度から見直せる。

五十嵐の存在は、小雪の傷を思い出させるだけではありません。

小雪があの頃からどれだけ変わったのかを映す鏡にもなっているんです。

ここまで含めて考えると、五十嵐は出番の多さ以上に重要なキャラクターだと思います。

『氷の城壁』五十嵐翼についてまとめ

『氷の城壁』の五十嵐翼は、氷川小雪と安曇美姫の中学時代の同級生で、サッカー部に所属する男子。そして小雪の元彼です。

小雪との恋愛は、最初から双方が同じ気持ちで進んでいたわけではありません。

五十嵐は小雪を本気で好きだった。

一方の小雪は、恋愛への戸惑いや周囲の視線を抱えながら、自分の本音をうまく伝えられずにいました。

そこへ五十嵐の積極的な距離の詰め方や、周囲からの冷やかしが重なります。

そして最終的には、五十嵐が友人の前で見栄を張って、小雪を軽く扱っているように聞こえる言葉を口にしてしまったことが、関係が壊れる大きなきっかけになります。

原作10巻の第86話「視点A・B」では、中学時代の出来事が五十嵐側からも描かれ、彼の好意が本物だったことが分かります。

続く第87話「緩解」では、高校生になった二人が過去と向き合います。

でも復縁はしません。

二人が得るのは恋人関係ではなく、過去を違う角度から理解し直すための距離です。

アニメでは第4話「不可侵」で五十嵐が重要人物として登場し、サッカー部の合同練習で明天高校を訪れます。

アニメ版の声優は小林千晃さんです。

僕が五十嵐編で最も重要だと思うのは、「相手を好きだったこと」と「相手を傷つけたこと」を別々の事実として描いている点です。

好きでも失敗する。

善意でも相手を苦しませることがある。

そして、自分が傷ついた過去に後から別の視点を加えることもできる。

だからといって、その傷を無かったことにする必要はありません。

小雪は五十嵐との過去を通して、「誰とも関わらない」という形で自分を守るようになりました。

でも高校生活を経た今は、ただ壁を閉ざすだけではありません。

自分の気持ちを言葉にして、人との距離を自分で選び直そうとしています。

そう考えると五十嵐翼は、単なる元彼でも、湊の恋敵でもないんですよね。

小雪がなぜ壁を築いたのかを示し、その壁との付き合い方が変わったことまで見せてくれる人物。

それこそが、『氷の城壁』における五十嵐翼の大きな役割なんじゃないかな!

よくある質問

『氷の城壁』の五十嵐翼とは誰ですか?

五十嵐翼は、小雪と美姫の中学時代の同級生で、サッカー部に所属する男子です。

中学時代には小雪と交際しており、小雪が人との距離に慎重になった過去を理解するうえで重要な人物です。

五十嵐と小雪はなぜ別れたのですか?

恋愛への温度差、距離感の違い、周囲からの冷やかし、小雪が本音を伝えられなかったことなどが積み重なりました。

さらに五十嵐が友人の前で見栄を張り、小雪を軽く扱っているように聞こえる言葉を口にしたことが大きな決定打になります。

五十嵐と小雪の過去は原作何話で分かりますか?

特に重要なのは、原作10巻に収録された第86話「視点A・B」と第87話「緩解」です。

第86話では五十嵐側の視点も含めて中学時代が描かれ、第87話では高校生になった二人が過去と向き合います。

五十嵐はアニメ何話に登場しますか?

小雪の過去に深く関わる人物として大きく登場するのは、アニメ第4話「不可侵」です。

サッカー部の合同練習で明天高校を訪れ、湊が五十嵐へ小雪について尋ねたことで、小雪の過去が現在の人間関係へ影響していきます。

五十嵐翼の声優は誰ですか?

アニメ版の五十嵐翼を演じるのは小林千晃さんです。

思春期らしい強がりや口の悪さだけでなく、裏表の少なさや感情の豊かさ、相手のことを考えているつもりで自分を基準にしてしまう未熟さまで含んだ人物として演じられています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次