13世紀モンゴル帝国の天幕を背景にシタラとドレゲネ、ファーティマとの関係を象徴的に表した歴史漫画風イメージ

『天幕のジャードゥーガル』のシタラは、後に「ファーティマ」を名乗る主人公です。史実のファーティマ・ハトゥンを下敷きにし、ドレゲネと復讐のため手を組んでいきます。

ただし、序盤に登場する奥方ファーティマとシタラは別人です。

この2人の「ファーティマ」と、さらにドレゲネ、ソルコクタニまで登場するため、「結局シタラの正体は誰?」「史実のファーティマとは同一人物?」「ドレゲネとはどういう関係?」と混乱しやすいんですよね。

この記事では、作中で確認できる設定・史実として記録されていること・僕自身の考察を分けながら、人物関係を整理していきます。

『天幕のジャードゥーガル』シタラの正体は?ファーティマとは同一人物?

結論からいうと、シタラは物語序盤の主人公で、後に亡き奥方の名を受け継いで「ファーティマ」を名乗る人物です。

つまり「シタラ」と「後のファーティマ」は同一人物ですが、シタラを幼少期に引き取った奥方ファーティマは別人です。

ここを最初に切り分けるだけで、『天幕のジャードゥーガル』の人物関係はかなり分かりやすくなります。

TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』公式情報では、幼いシタラは母を亡くし、故郷から遠く離された後、学者一家の奥方ファーティマに拾われます。

そこでファーティマの息子ムハンマドと出会い、「知ること」「賢くなること」が困難を乗り越える力になると学んでいきます。2026年放送のTVアニメ公式サイトおよびBS朝日の番組紹介でも、この流れが作品の出発点として明記されています。

人物関係を簡潔に整理すると、こうなります。

  • シタラ→奥方ファーティマ: 幼いシタラを引き取った恩人。後にシタラがその名を受け継ぐ。
  • シタラ→ムハンマド: 奥方ファーティマの息子。シタラが「知」の価値を知る大きなきっかけとなる。
  • シタラ→ソルコクタニ: モンゴル王族側でシタラの能力を評価し、彼女が帝国中枢へ近づいていく過程で重要になる人物。
  • シタラ→ドレゲネ: ともにモンゴル帝国への恨みを抱え、やがて復讐のため結託する相手。
  • シタラ→後のファーティマ: 同一人物。亡き奥方の名を継いだシタラ自身を指す。

「ファーティマが二人いるの?」という疑問は、これで解消できますよね!

僕はシタラの「正体」を、単純に「後のファーティマです」で終わらせるのは少しもったいないと思っています。

なぜなら、この名前を受け継ぐ過程そのものが、シタラという主人公の人生を象徴しているからです。

シタラは最初から天才策略家だったわけではない

物語は1213年、現在のイランにあたる地域のトゥースから始まります。

シタラは最初からモンゴル帝国を相手に政治を仕掛ける人物だったわけではありません。

母を失い、知らない土地へ連れてこられ、元の暮らしへ戻りたいと思っていた一人の少女です。

そんなシタラに大きな影響を与えるのがムハンマドでした。

シタラは彼との生活を通して、知識は単なる教養ではなく、自分で選択肢を増やすための力なのだと知っていきます。アニメ公式の作品紹介でも、ムハンマドの言葉をきっかけにシタラが「知」の可能性と大切さを知り、教養を深めていくことが物語の重要な軸として示されています。

ここが僕はめちゃくちゃ好きなんですよ。

シタラは「何でも知っているから強い主人公」ではありません。

何も選べなかった少女が、学ぶことで自分の次の一手を選べるようになっていく主人公なんです。

だから後に彼女が巨大なモンゴル帝国の政治へ関わっていく姿にも、ちゃんと一本の線が通っています。


シタラはなぜ亡き主人の「ファーティマ」を名乗るの?

シタラが「ファーティマ」を名乗る背景には、モンゴル帝国の侵攻によって、それまで築いてきた生活を失ったことがあります。

TVアニメ公式およびBS朝日の作品紹介では、帝国の第四皇子トルイによってすべてを奪われ、捕虜となったシタラが、残された「知恵」を使って王族へ取り入り、帝国を内側から崩そうと決意すると説明されています。

シタラにとってモンゴル帝国は、遠い世界の巨大国家ではありません。

自分の日常を壊し、大切なものを奪った相手です。

ところがシタラには大軍も地位も財産もありません。

そこで武器となったのが、ファーティマ一家との暮らしで身につけてきた知識でした。

シタラはやがて亡き奥方の名前である「ファーティマ」を自ら名乗り、モンゴル王族の世界で生きていきます。

ここで大切なのは、作品内で確認できる事実と、読者としての解釈を混同しないことです。

【作中で確認できること】シタラは奥方ファーティマの名を受け継ぎ、「ファーティマ」を名乗る。

一方、「なぜその名を選ぶことがシタラにとって重要なのか」という心理的な意味については、物語から読み取る部分もあります。

「ファーティマ」は名前だけでなく、シタラが受け継いだものの象徴

ここからは僕の考察です。

僕にはシタラが「ファーティマ」と名乗る行為が、単なる名前の変更以上のものに見えます。

シタラが奥方ファーティマの家で得たものは、食事や寝床だけではありません。

ムハンマドを通して学んだ知識。

世界を理解しようとする姿勢。

考えることで未来を選ぼうとする力。

モンゴル帝国によって家や人を奪われても、その知識まで奪うことはできません。

だから僕は、シタラが「ファーティマ」という名を名乗ることを、失われた過去をそのまま抱えて立ち止まるのではなく、受け取ったものを自分の生きる力へ変える行為として読んでいます。

「ファーティマ」という名前は、シタラが失った人の記憶であると同時に、これから敵の内部へ踏み込むための鎧にもなっているんじゃないかな。

※画像はAIによるイメージ

シタラのモデル「ファーティマ・ハトゥン」は実在した?

史実では、ドレゲネの側近として政治的影響力を持ったファーティマ・ハトゥンという実在人物が記録されています。

ただし、漫画で描かれる「シタラの幼少期」がそのまま歴史資料に残されているわけではありません。

ここは検索している人が一番誤解しやすいポイントなので、はっきり分けておきましょう。

作者トマトスープ先生は、2023年3月公開のanan webのインタビューで、主人公について「シタラ、後のファーティマ・ハトゥン」と説明されています。

同インタビューでは、もともとは史実でより有名なドレゲネを主人公にする構想もあったものの、巨大なモンゴル帝国を描くうえで動きのある人物、さらにイスラム世界から来た人物を中心にしたいと考え、ファーティマに焦点を当てたことが語られています。

さらに2024年11月17日公開のWASEDA LINKSによるトマトスープ先生へのインタビューでも、史実のファーティマがドレゲネとともに「悪役」として記述されることが多く、その人物がどんな人生を歩んだのか想像したくなったことが、主人公に選んだ理由として説明されています。

つまり構造としては、

史実に記録されたファーティマ・ハトゥン

史料では分からない前半生・心理・人間関係を創作として再構成

漫画の「シタラ/ファーティマ」

と考えるのが分かりやすいです。

史料にはファーティマについて何が書かれている?

ここからは史実に触れるため、漫画・アニメより先の時代について軽い歴史上のネタバレを含みます。

ファーティマについて具体的な記述を残している重要な史料の一つが、13世紀のペルシア人歴史家アラーウッディーン・アターマリク・ジュヴァイニーによる『世界征服者の歴史』です。

英訳版では「Of Fatima Khatun」と題した章まで設けられています。

そこではファーティマが、アリー・リダー廟のある地域、すなわち現在のマシュハド周辺がモンゴル側に占領された際に捕虜となり、のちにカラコルムへ至った人物として記録されています。

さらにジュヴァイニーは、ファーティマがオゴタイ存命中からドレゲネの宮廷へ出入りし、その後さらに寵愛と影響力を増したと記しています。

別の箇所では、ドレゲネのもとでファーティマが非常に大きな影響力を持ち、国家に関わる事柄についても彼女の助言や能力が重視されたという趣旨の記述があります。

「史実でもファーティマはドレゲネの近くにいた」というのは、単なる作品公式の宣伝文句ではなく、こうした同時代に近い歴史記録を下敷きにしているわけです。

ドレゲネはオゴタイ死後、帝国政治の中心に立った

史実でこの関係が重要になる理由は、ドレゲネ自身の立場にもあります。

オゴタイ死後、ドレゲネは1241年から1246年にかけて摂政としてモンゴル帝国の政治を主導しました。

現代の研究でも、このドレゲネ摂政期はモンゴル帝国政治の重要な時期として扱われています。Cambridge University Press掲載の研究では、ドレゲネの摂政期を1241~1246年として論じています。

つまりファーティマは、「皇帝の妻の侍女だった」という一言だけでは収まらない場所にいた可能性があるんです。

帝国政治の中心へ立ったドレゲネの近くで、助言者として影響を及ぼした人物として史料に登場する。

だからこそ『天幕のジャードゥーガル』で、シタラが一人の捕虜からドレゲネと結びついていく過程には、とても大きな意味があります。

僕らが読んでいる「シタラ」が、少しずつ史料に記録された「ファーティマ」の位置へ近づいているわけです。

ただし史料のファーティマ像をそのまま事実と思わない方がいい

ここも重要です。

ジュヴァイニーのファーティマ評は、現代の人物紹介のように中立的なものではありません。

『世界征服者の歴史』では、彼女の狡猾さを強く印象づける表現が使われるなど、かなり否定的な筆致で人物像が描かれています。

トマトスープ先生も2023年のanan webの取材で、歴史書ではドレゲネがファーティマに操られたかのように悪く書かれている一方、「一人の侍女が国家へ影響した」と考えると物語として想像を広げられる余地がある、という趣旨を語っています。

2024年のWASEDA LINKSのインタビューでも、ファーティマとドレゲネが悪役として叙述されることが多いからこそ、「どういう人生を歩んだのか」を考えたくなったと説明しています。

これ、歴史漫画としてめちゃくちゃ面白いところですよね!

史料から確認できるのは「何をしたと記録されたか」であって、その人の幼少期、感情、葛藤のすべてではありません。

『天幕のジャードゥーガル』は、その史料と史料の間にある巨大な空白へ、「シタラ」という一人の人間を置いている作品なんです。


『天幕のジャードゥーガル』シタラとドレゲネの関係は?

作中のシタラとドレゲネは、モンゴル帝国への恨みを共有し、帝国へ復讐するため手を組む関係です。

2026年8月1日にBS朝日で放送されたアニメ第6幕では、モンゴル帝国に恨みを持つシタラをドレゲネが信頼し、自身の過去を語る展開が紹介されています。

ドレゲネは25年前、年の離れたメルキト族の長ダイルに嫁ぎ、ダイルの娘クランたちと心を通わせます。

しかし、その生活もチンギス・カン率いるモンゴル族の襲撃によって大きく変わっていきます。

そして2026年8月8日放送の第7幕では、さらに関係が明確になります。

シタラはドレゲネと結託し、モンゴル帝国への復讐を誓います。

ドレゲネはオゴタイの妻という立場を利用して総会議「クリルタイ」で情報を集め、シタラはその情報をもとに、権威を持つオゴタイと軍事力を持つトルイの間へ不和を生じさせようと動き始めます。

ここまで来ると、二人の役割の違いがかなり見えてきますよね。

シタラ=知略、ドレゲネ=政治的な立場

ここからは僕の考察です。

シタラとドレゲネの関係を一言で捉えるなら、僕は「知略」と「政治的立場」の同盟だと考えています。

シタラには考える力があります。

情報を集め、相手の力関係を観察し、どこを動かせば状況が変わるのかを考えられる。

実際、第7幕で彼女が狙うのも、自ら武力でトルイを倒すことではありません。

オゴタイとトルイという、帝国内部にすでに存在する異なる力を利用し、その間へ亀裂を生じさせようとすることです。

でもシタラ一人ではクリルタイに参加できません。

そこで必要になるのがドレゲネです。

ドレゲネはオゴタイの妻という立場から、シタラには届かない政治情報へ接近できます。

情報を得られるドレゲネと、その情報をどう使うか考えるシタラ。

この役割分担が成立した瞬間、二人の復讐は「個人的な怒り」から「帝国政治を内側から揺らす計画」へ変わるんですよ。

これが単なる仲良しコンビではないところが、『天幕のジャードゥーガル』の面白さだと思います。

※画像はAIによるイメージ

シタラ・ファーティマ・ソルコクタニ・ドレゲネの相関を整理

人名が増えてきたので、「誰がシタラにとって何なのか」をもう一度整理しましょう。

奥方ファーティマはシタラの過去、ソルコクタニは帝国内で能力を認める存在、ドレゲネは復讐をともに進める協力者と見ると分かりやすいです。

シタラ/後のファーティマ: 物語の主人公。学問を身につけた後、モンゴル帝国に捕らえられ、亡き奥方の名「ファーティマ」を名乗る。

奥方ファーティマ: 幼いシタラを引き取った学者一家の女性。シタラ本人とは別人で、後にシタラがその名前を受け継ぐ。

ムハンマド: 奥方ファーティマの息子。シタラが知識の価値を理解するうえで大きな影響を与える。

トルイ: チンギス・カンの息子。作中ではシタラがそれまで築いていた暮らしを失う契機となるモンゴル側の皇子。

ソルコクタニ: トルイの正妃。シタラがモンゴル王族の内部へ入った後に関わる重要人物で、単純な「敵か味方か」では分類できない存在。

オゴタイ: チンギス・カンの息子で、後のモンゴル帝国第2代皇帝。ドレゲネの夫であり、第7幕ではシタラがトルイとの政治的な亀裂を作ろうとする対象となる。

ドレゲネ: オゴタイの妃。作中ではモンゴル帝国への恨みをシタラと共有し、復讐のため結託する。史実ではオゴタイ死後の1241~1246年に摂政として帝国政治を担った。

この相関で特に注目したいのが、シタラが接するモンゴル側の女性たちが全員同じ役割ではないことです。

シタラにとってモンゴル帝国は憎むべき存在ですが、帝国内部へ入ると「モンゴル」という一語では括れない人間関係が見えてきます。

これが復讐劇としてかなり重要なんですよ。

帝国を外から見ていた段階では「敵」で一括りにできた。

でも内側へ入るほど、個人の事情、利害、優しさ、野心まで見えてしまう。

知識によって帝国を倒そうとする主人公が、知れば知るほど世界を単純な敵味方へ分けられなくなる。

僕はここに、『天幕のジャードゥーガル』ならではの苦さを感じます。


シタラとドレゲネは今後どうなる?史実から見える作品のポイント

ここからは史実を踏まえた考察です。

結論だけいえば、シタラとドレゲネの出会いは、漫画の主人公が「史実のファーティマ・ハトゥン」へ近づいていく大きな転換点だと僕は考えています。

史実のファーティマはドレゲネの近くで大きな影響力を持った人物としてジュヴァイニーに記録されています。

そしてドレゲネはオゴタイ死後に摂政となり、1240年代の帝国政治の中心に立ちます。

漫画では、最初からその場所にファーティマがいるわけではありません。

僕らが最初に出会うのは「シタラ」という少女です。

故郷へ戻りたい。

勉強の意味も最初から理解していたわけではない。

大切な人たちと暮らしていた。

その少女が一つずつ経験を重ね、奥方の名を継ぎ、モンゴル帝国へ入り、ついにはドレゲネと手を組む。

この過程を読者は最初から見ています。

だから史料に突然現れる「権力を持ったファーティマ」と、漫画で育ってきた「シタラ」がつながった瞬間の重さが全然違うんですよね。

作者自身が描いているのは「完璧な策士」ではない

この読み方を裏付けるうえで興味深いのが、2024年8月30日にSouffleで公開されたトマトスープ先生と相沢梨紗さんの対談です。

トマトスープ先生はそこで、ファーティマが実在人物であることを明言したうえで、最初はもっとたくましく器用に生きた人を想像していたものの、背景を調べていくうちに「実はかなり不器用だったのかもしれない」と考えるようになったことを語っています。

さらに作品では賢い人物として描いているものの、作者自身は主人公を「何でもスマートにこなす人物」というより、不器用ながら自分のできることをやる人物として捉えていることが分かります。

ここ、シタラを見るうえでかなり重要じゃないでしょうか。

シタラは知識を得たからといって感情を捨てた天才軍師になるわけではありません。

むしろ僕は、感情を抱えたまま、それでも考えることをやめない人物だから魅力的なんだと思っています。

復讐したい。

でも人を知ってしまう。

敵の中にも自分を評価する者がいる。

自分と同じようにモンゴルに人生を変えられたドレゲネにも出会う。

そのたびに、最初に思い描いていた「復讐」の形まで変わっていく可能性があります。

これは「知識があればすべて解決する」という物語ではないんですよね。

知識があるからこそ、簡単な答えでは済まなくなる物語でもあると思います。

「ジャードゥーガル=魔女」というタイトルも二人の関係につながる

作品タイトルの「ジャードゥーガル」については、モンゴル帝国史研究者・村岡倫氏への2024年10月25日公開のSouffleインタビューで、「ペルシャ語で魔女の意味」と説明されています。

同じインタビューでは、村岡氏が史実上のファーティマとドレゲネの結末を知りつつ、トマトスープ先生が漫画としてどのような最終回を描くのか楽しみにしていると語っています。

つまりこの作品は、史実を知れば終わりではありません。

「歴史書にはこう書かれた女性たちを、漫画ではどんな人間として描くのか」を見る作品でもあるんです。

僕としては、ここが『天幕のジャードゥーガル』最大級の面白さだと思っています。

後世の歴史書を開けば「ファーティマ」という名前がある。

そこには政治へ影響した女性として記録されている。

でも漫画を読んでいる僕らは、その名前になる前の「シタラ」を知っている。

「歴史上の人物」として一行で片づけられる人間にも、その一行へ到達するまでの人生があったはずです。

『天幕のジャードゥーガル』は、その見えない人生を漫画として膨らませている。

だからシタラの正体を知ることは、単なるキャラクター相関の確認ではありません。

シタラという少女が、どうやって歴史に記録された「ファーティマ」へ変わっていくのかを見ることそのものが、この作品の核の一つだと僕は考えています。


『天幕のジャードゥーガル』シタラの正体とドレゲネとの関係まとめ

『天幕のジャードゥーガル』のシタラは、幼い頃に学者一家の奥方ファーティマに引き取られ、ムハンマドとの生活を通して「知」の力を学んだ少女です。

モンゴル帝国の侵攻によってそれまでの生活を失った後、シタラは亡き奥方の名前である「ファーティマ」を名乗り、知識を武器に帝国内部へ入っていきます。

つまり、序盤の奥方ファーティマとシタラは別人ですが、「シタラ」と後にファーティマを名乗る主人公は同一人物です。

そして主人公の下敷きになっているのが、史実のファーティマ・ハトゥン。

13世紀のジュヴァイニー『世界征服者の歴史』には、捕虜となったファーティマがカラコルムへ渡り、ドレゲネの近くで強い影響力を持つようになったことが記録されています。

一方のドレゲネは、作中ではシタラと同じくモンゴル帝国に深い恨みを抱く女性です。

2026年8月8日放送のアニメ第7幕では、二人がついに結託し、ドレゲネが得た政治情報をシタラが利用して、オゴタイとトルイの間へ不和を生じさせようと動き出しました。

僕なりに二人の関係を一文で表すなら、

「ファーティマから知と名を受け継いだシタラが、政治的位置を持つドレゲネと結びつくことで、史実に記録されたファーティマへ近づいていく」

という構造です。

しかも面白いのは、シタラが知識を得れば得るほど、復讐が簡単になっていくわけではないこと。

敵の内部へ入り、人間を知り、帝国の構造を理解するほど、「モンゴル=全員同じ敵」という単純な見方はできなくなっていきます。

知識はシタラを生き残らせる武器です。

同時に、世界を白黒だけでは見られなくする力でもある。

だから僕は、シタラが最終的にどんな思いを抱えながら「歴史上のファーティマ」へたどり着くのかが、『天幕のジャードゥーガル』を読むうえで最大の注目ポイントの一つだと思っています!


よくある質問

『天幕のジャードゥーガル』のシタラとファーティマは同一人物?

後に「ファーティマ」を名乗るシタラは同一人物です。

ただし物語序盤には、幼いシタラを引き取った別人の奥方ファーティマが登場します。シタラは後に、その亡き奥方の名前を受け継ぎます。

シタラは実在した人物なの?

漫画で描かれる「シタラ」という少女の幼少期やすべての出来事が、そのまま史実として確認されているわけではありません。

一方、主人公の下敷きとなったファーティマ・ハトゥンは実在人物で、ジュヴァイニー『世界征服者の歴史』にもドレゲネの近くで影響力を持った女性として記録されています。

シタラとドレゲネはなぜ手を組むの?

二人がモンゴル帝国への恨みを共有していることが大きな理由です。

2026年8月8日放送のアニメ第7幕では、シタラとドレゲネが結託し、ドレゲネの立場で得た情報をもとに、シタラがオゴタイとトルイの間へ不和を起こそうとする展開まで描かれています。

ジョウスター(漫画レビュアー・コミック愛好家)