『傷だらけ聖女より報復をこめて』は、親友アリアンに功績と恋を奪われたルーアが、第二王子スウェンと共に神殿の陰謀まで暴き、最後は彼と結ばれて自分の未来を取り戻す復讐ロマンスです。
序盤の「裏切った親友への報復」は、やがてレストアット家の悲劇、黒い薔薇、黒薔薇病、神官長の計画へつながり、本編第138話で大きな区切りを迎えます。
※この記事は『傷だらけ聖女より報復をこめて』の重大なネタバレを含みます。
この記事でいう「原作」は、編乃肌さんが原案を担当し、SORAJIMAが制作する縦読みWebtoon版を指します。小説版を指しているわけではないので、この点だけ最初に押さえておいてください。
結末までの流れを先にまとめると、こうです。
- ルーアが命懸けで救ったガロットの功績をアリアンが横取りする
- 第二王子スウェンと手を組み、ルーアが報復を始める
- 生誕祭や薔薇姫をめぐる出来事の中でアリアンの嘘が崩れ始める
- ガロットは真実を知り、アリアンとの婚約関係を終わらせる
- レストアット家の死と黒い薔薇、黒薔薇病、神官長側の計画がつながる
- 神官長との因縁に決着した後、アリアンとの最終対決へ進む
- ルーアはガロットとは復縁せず、スウェンとの未来を選ぶ
- 本編第138話後の外伝では、ルーアとスウェンの新婚旅行も描かれる
単なる「浮気男と悪女へのざまぁ」で終わらず、ルーアが自分の人生を自分で選び直す物語へ発展していくのが大きな特徴なんだよね!
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傷だらけ聖女より報復をこめての始まりは?アリアンは何をした?
すべての始まりは、ルーアが命を削って救ったガロットの功績を、親友だったアリアンが自分のものにしたことです。
主人公ルーア・レストアットは、傷や病を治せる聖女候補。
ただし彼女の治癒能力には、かなり残酷な条件があります。
相手の症状を消して終わりではありません。
治す相手の傷や苦痛をいったん自分の身体へ移し、それを自分で治癒しなければならないんです。
だから重傷者を救えば、ルーア自身も同じ苦痛を味わうことになる。
便利な回復能力どころか、使うたびに自分を傷つける力なんだよね。
その性質から周囲の聖女候補たちには「欠陥聖女」と見下され、ルーアは孤独を抱えていました。
そんな彼女が心を許していたのが、親友として接していたアリアン・トレビアーズ。
そして密かに想いを寄せていたのが、騎士団長ガロット・バンスです。
ある日、魔獣との戦いでガロットが瀕死になります。
ルーアは彼を助けるために能力の限界を超え、ガロットの重傷を自分へ移して治療しました。
ガロットは助かります。
ところがルーアは、その代償で生死の境をさまようほど衰弱してしまうんです。
そしてようやく目を覚ましたルーアが知らされたのは、信じられない現実でした。
ガロットを救った功績はアリアンのものになり、しかもガロットとアリアンの婚約まで決まっていた。
さらにルーアには悪評が広まり、ガロット本人まで彼女へ冷たい態度を取ります。
アリアンが奪ったものは、恋人候補だけじゃありません。
功績、信用、友人への信頼、そしてルーアが神殿の中で何とか保っていた居場所まで崩してしまったわけです。
ここでルーアは、ずっと隠していたもう一つの力を使う決意をします。
それが加虐能力。
ルーアが過去に自分へ移して治した傷や症状を、今度は他人へ与えられる能力です。
治癒が「相手の痛みを自分へ引き受ける力」なら、加虐は「自分が知っている痛みを相手へ返す力」。
この二つが表裏一体になっているところが、本作のめちゃくちゃ面白い設定なんだよね!
そして絶望したルーアへ手を差し伸べるのが、第二王子スウェン・ジード=クロウン。
スウェンはルーアに、自分を傷つけてきた者たちへ報復するため共に行動しないかと持ちかけます。
ここからルーアは、「耐えていればいつか誰かが分かってくれる」という生き方をやめます。
僕がこの序盤で一番重要だと思うのは、ルーアが突然邪悪になったわけではないこと。
加虐能力は以前から持っていたのに、それまでは使わなかった。
つまり彼女の報復開始は「善人が悪人になった瞬間」ではなく、一方的に傷つけられ続ける関係から、自分の意思で降りた瞬間なんです。
この見方をすると、「悪女になる」という言葉の意味もずいぶん違って見えてくるよ。
スウェンとの共闘で何が変わる?生誕祭と薔薇姫までネタバレ
スウェンと組んだルーアは、アリアン個人への仕返しだけでなく、神殿や権力者の裏側まで調べ始めます。
スウェンは、ただルーアの復讐を面白がって協力する王子ではありません。
王族として情報を集めながら、神殿やその周辺で起きている不審な動きを警戒していました。
側近のシジー・ルビンも加わり、ルーアは以前なら得られなかった情報へアクセスしていきます。
この共闘で大きく変わるのが、ルーアの「人を信じる方法」です。
アリアンを信じ切って裏切られたルーアは、スウェンに何かを言われても、ただ従うだけではなくなります。
情報を確認する。
疑問を持つ。
自分で判断する。
裏切りによって失ったものばかりに見えた経験が、少しずつルーア自身の判断力へ変わっていくんです。
スウェンとの関係も、単純な「王子様が可哀想なヒロインを助ける」という構図ではありません。
スウェンには以前からルーアへの強い思い入れがありますが、ルーアは身分差や自分の過去もあって、すぐに恋愛へ踏み込めません。
だから二人はまず、同じ目的を追う仲間として時間を重ねていきます。
この積み重ねが、後半の恋愛に説得力を出しているんだよね。
そして物語の大きな節目となるのが、女神ルーシェの生誕祭。
ルーアは聖女候補を代表する薔薇姫に選ばれます。
もう一人の薔薇姫となるのがアリアン。
ルーアを陰で陥れてきた人物と、公の場で同じ役割を担うことになります。
さらに前任の薔薇姫ネルネ=サンドラも関わり、スウェンへの感情からルーアを敵視。
ルーアの周囲には、新たな対立も生まれていきます。
一方で以前とは決定的に違う点があります。
この頃のルーアは、もう一人じゃありません。
第一王子サリッド・ジード=クロウン、その婚約者ディアナ・ペリドットらとも関わりが深まり、孤立していた序盤とは人間関係そのものが変わっていきます。

僕は生誕祭周辺を、ルーアが奪われた「社会的信用」を取り戻していく章だと見ています。
アリアンが奪ったのはガロットだけではありません。
周囲に「ルーアは信用できない人物だ」という印象を植えつけることで、ルーアが何を言っても信じてもらえない環境まで作った。
だから本当の報復には、アリアンを痛い目に遭わせるだけでなく、ルーア自身が人前で役目を果たし、周囲の認識を書き換えていく過程が必要だったんです。
そして、ここでガロット側にも変化が始まります。
アリアンを信じていたガロットは、出来事を重ねるうちに「自分を本当に救ったのはアリアンなのか?」という疑問を抱き始めます。
この違和感が、後に二人の婚約を壊す決定打になっていきます。
ルーアの家族はなぜ死んだ?黒い薔薇とロウゼンの関係
レストアット家の死は単なる不幸では終わらず、黒い薔薇、研究者ロウゼン、神官長側の計画へつながる事件として掘り下げられます。
生誕祭前後から、物語はかなり雰囲気を変えていきます。
それまでの中心は「アリアンに奪われたものを取り返す報復劇」。
しかしここから、ルーア自身の出自と家族の死を追うミステリーが本格化します。
重要人物になるのがルイズ・リストン。
ルーアが幼い頃、レストアット家に仕えていた人物で、現在はディアナのそばで働いています。
ルイズとの再会によって、ルーアはかつて家族を失った出来事が、単なる事故や偶然ではなかった可能性を知ることになります。
さらに、かつて暮らした場所や母親が残した記録を追う中で、神官長側への疑惑が深まります。
その線上に現れる研究者がロウゼンです。
ロウゼンの研究と黒い薔薇は密接につながっており、後に問題となるのが黒薔薇病。
神官長側が狙ったのは、ただ人々を病気にすることではありません。
黒薔薇病によって危機を作り、その病を治せる存在として特定の聖女を前面に立たせる。
その役割を担うのがアリアンでした。
つまり構図としては、
病を生み出す → 人々を不安にさせる → 治療者を英雄化する → 神殿への信仰と影響力を高める
という流れです。
これって、序盤のアリアンがやったことの巨大版なんだよね。
ガロットが傷ついた。
本当はルーアが助けた。
なのにアリアンが「救った人」という立場を奪い、自分の価値を上げた。
黒薔薇病の計画でも、まず誰かの苦しみを作り、その後に「救った功績」を演出して自分たちの権威へ変えようとする。
他人の苦痛を、自分の評価を上げるための材料にする。
規模は恋愛関係から国や神殿へ拡大しているのに、敵側の行動原理は一貫しています。
ここが『傷だらけ聖女より報復をこめて』の構成で、かなり上手い部分だと思います。
ルーアの復讐相手が増えたのではなく、最初から存在していた「痛みを利用する構造」が、だんだん大きく見えてきたわけです。
※PRを含みます。生誕祭から黒い薔薇、レストアット家の過去へつながる流れは人物の表情や演出も重要なので、気になる場面は配信状況を確認して本編で追うと整理しやすいです。
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神官長と黒薔薇病はどう決着する?終盤の報復をネタバレ
神官長側は黒薔薇病を利用して神殿とアリアンの権威を高めようとしますが、ルーアたちが計画を暴き、民衆の目にも真相がさらされ、ルーアは家族の死へつながる因縁にも決着をつけます。
ここは前の記事より、時系列をはっきり整理したほうが分かりやすいところです。
ルーアたちは黒い薔薇と研究の実態を追い、ロウゼンやその元弟子リィンへとたどり着きます。
そして調査を進めることで、黒薔薇病が単なる自然発生の病ではなく、神官長側の思惑と結びついていることが見えてきます。
ポイントは「病気を治せるアリアンを作る」のが最終目的ではないこと。
その先には、病に苦しむ人々から「アリアンこそ救いだ」「神殿こそ頼るべき存在だ」と思わせ、神殿の影響力を強める狙いがあります。
しかしルーアたちは、そこで正面から戦うだけではありません。
神官長側が隠した事実を表へ引きずり出し、彼ら自身が作ってきた「神聖で正しい神殿」というイメージを壊していきます。
終盤では第109話「民の審判」が置かれています。
このタイトルが象徴的なんだよね。
それまで神官長は、神殿という立場を盾にして「人を裁く側」にいました。
ところが陰謀が露見した結果、今度はその神官長自身が人々から問われる側へ回る。
第111話「神官長の追想」を挟み、第112話「同等の痛みで返すわ」、第113話「敵討ち」へ進みます。
ルーアにとってこの対決が特別なのは、黒薔薇病を止めれば終わりではないからです。
神官長側の行動は、現在の民衆だけでなく、レストアット家の過去にもつながっていた。
だからルーアにとって第112話から第113話の局面は、世界を救う英雄的な戦いであると同時に、家族を奪われた一人の娘としての報復でもあります。
「同等の痛みで返すわ」という言葉は、ルーアの加虐能力そのものとも重なります。
自分が背負わされてきた痛みを、何もなかったことにはしない。
しかしその一方で、神官長を倒した後にルーアが無差別に復讐を続けるわけでもない。
ここが重要です。
ロウゼンについても、研究と黒薔薇病計画を結びつける重要人物として追及され、神官長側の計画は継続できなくなります。
ただし、神官長やロウゼンについて「死亡した」「処刑された」など、作中で明示されていない形まで膨らませて断定するのは避けるべきです。
結末として押さえるべきなのは、黒薔薇病を利用して権威を作る企みが破綻し、神官長側が人々を支配する前提そのものを失ったという部分です。
そして、神官長との決着だけで物語は終わりません。
第114話「苦痛と悪夢」、第115話「トレビアーズ伯爵家の崩壊」、第116話「黒薔薇病の在処」、第117話「悪魔と女神」と続き、焦点は再びアリアンへ集約されていきます。
ここが構成として面白い。
普通なら国家規模の陰謀を倒したところを最大のクライマックスにしそうですよね。
でも本作は、最後にちゃんとルーアとアリアンという物語の原点となった二人の関係へ戻ってくるんです。
つまりスケールは広がっても、物語の中心が誰なのかを忘れていない。
僕はこの戻し方がかなり好きです。

しかもこの頃のルーアは、序盤とは戦い方も違います。
最初のルーアは、人を助けるなら自分が傷つけばいいと考えていました。
でも後半では、スウェンやシジー、リィンなど周囲の力も借りながら真相へ近づいていく。
「優しい人=全部自分で背負う人」ではなくなったんです。
個人的には、ここが神官長を倒すこと以上に大きな成長だと思っています。
アリアンとガロットは最後どうなる?婚約破棄と最終決戦
ガロットは自分を本当に救ったのがルーアだったと知り、アリアンとの婚約を破棄します。しかしルーアと復縁することはありません。
ガロットについては、読んでいる途中で「いつ真実に気づくんだ!」と思った人も多いんじゃないかな。
彼は正義感の強い騎士団長ですが、アリアンの言葉を信じ込み、ルーア本人へ十分に確認しないまま彼女を傷つけました。
物語が進むにつれて、アリアンの話には少しずつ綻びが生まれます。
そしてガロットは、自分が瀕死だったあの日、本当に命を救ってくれたのがアリアンではなくルーアだったと知ります。
その結果、アリアンとの婚約関係は破綻。
ガロット自身も、自分がどれだけ大きな間違いをしたかと向き合うことになります。
ただし、ここでルーアがガロットとよりを戻す展開にはなりません。
これがすごく大事。
ガロットはアリアンに騙されていたという意味では被害者です。
でも同時に、ルーアの話をきちんと聞かず、彼女へ冷たい態度を取ったことまで消えるわけではありません。
騙されたことと、その結果として誰かを傷つけたことは別問題。
本作はそこを「全部アリアンが悪かったから元通り」で済ませません。
ルーアには、真実が明らかになったからといって、昔好きだった男性をもう一度選ぶ義務なんてないんです。
一方のアリアンは、ガロットを失っただけでは終わりません。
第115話「トレビアーズ伯爵家の崩壊」が示すように、彼女を支えていた家の立場にも大きな変化が訪れます。
さらに、
- 第118話「アリアン=トレビアーズという女」
- 第119話「最終決戦」
- 第120話「舞台の幕引きは」
- 第121話「可哀相で惨めな」
- 第122話「アリアンの秘密」
- 第123話「因縁の終わり」
と、アリアンに焦点を当てた最終局面が続きます。
ここまで来ると、アリアンが失うのは「ガロット」という一人の男性ではありません。
嘘で作り上げた聖女候補としての信用。
伯爵令嬢としての立場。
周囲を操ることで維持していた優位性。
それらが順番に崩れていきます。
アリアンが序盤でルーアから奪ったものを考えてみてください。
恋。
功績。
信用。
居場所。
終盤では、まさにそれと対応するように、アリアン自身が虚偽の上に作った立場を失っていくんです。
だから「ざまぁ」の満足感はありつつも、単純に痛めつけて終わる報復ではない。
嘘によって築いた人生が、真実を明らかにされることで崩れる。
この決着のほうが、アリアンというキャラクターにはずっと効いていると僕は感じます。
そして第123話「因縁の終わり」で、ルーアとアリアンの長く続いた対立には大きな区切りがつきます。
タイトル通り、ここは序盤から続いた「親友だった二人」の物語を閉じる重要な地点です。
傷だらけ聖女より報復をこめての結末は?ルーアとスウェンは結婚する?
ルーアはガロットとの過去へ戻らずスウェンを選び、二人は結ばれます。本編後の外伝では新婚旅行まで描かれます。
アリアンとの因縁が終わった後も、物語はすぐ終了しません。
むしろここからが、『傷だらけ聖女より報復をこめて』という作品を理解するうえで大切なんです。
第127話からは、
- 第127話「報復の後①」
- 第128話「報復の後②」
- 第129話「報復の後③」
- 第130話「大罪人」
- 第131話「アリアンたちの末路」
と、タイトル通り「復讐が終わった後」が描かれます。
さらに、
- 第132話「お墓参り」
- 第133話「聖女へ」
- 第134話「君に一番届く言葉」
- 第135話「この先もずっと……」
- 第136話「未来の話①」
- 第137話「未来の話②」
- 第138話「傷だらけ聖女より」
へと続きます。
ここまで話数を使うということは、本作が「敵を倒した瞬間」をゴールにしていないということ。
復讐が終わった後、ルーアは何を選ぶのか。
誰と生きるのか。
そして自分自身をどう定義し直すのか。
そこまで描いて、ようやく本編が区切られるんです。
恋愛面では、スウェンとの関係が最終的な答えになります。
スウェンはルーアに復讐を提案した人物ですが、彼女の代わりにすべてを解決するわけではありません。
むしろ重要なのは、ルーアが決めたことを支えながら、一緒に危険な場所へ進んできたことです。
序盤のルーアにとって、ガロットへの感情は「憧れ」の要素がかなり強かったと思います。
命を懸けて救うほど好きなのに、互いに同じだけ相手を知り、同じだけ支え合っていた関係とは言いづらかった。
一方、スウェンとは違います。
神殿の調査。
生誕祭。
家族の過去。
黒い薔薇。
神官長との対決。
アリアンとの最終決戦。
ルーアが最も苦しい時期を、自分の意思で戦いながら共に越えてきた相手です。
だから二人の恋は「助けてもらったから好きになった」というご褒美的なものではなく、共通の経験から積み上げた信頼が恋愛へ変化したものとして読めます。
そして最終的にルーアとスウェンは結ばれます。
本編第138話「傷だらけ聖女より」の後、第139話にあたる外伝1話「新婚旅行編 前編」、第140話にあたる外伝2話「新婚旅行編 後編」が続きます。
つまり二人が結婚後の関係に進んだことは、外伝まで含めるとはっきり分かるわけです。
さらに第141話から第143話にあたる外伝3~5話では「聖女様の伝記編」が展開されます。
2026年9月時点では、143話まで掲載している形の配信と、作品全体を144話と表示する形の配信があり、サービスによって話数の数え方に差があります。
そのため「作品全体が143話なのか144話なのか」だけで判断すると混乱しやすいです。
整理すると、本編は第138話で大きな区切りを迎え、第139話以降は外伝として新婚旅行編などが続くと覚えておくと分かりやすいよ。
なぜ単なるざまぁ作品で終わらない?ジョウスターの考察
個人的に本作の一番面白いところは、物語が進むにつれてルーアの「勝利条件」が変化することだと考えています。
序盤の読者が期待するものは分かりやすいですよね。
アリアンの嘘がバレてほしい。
ガロットに本当のことを知ってほしい。
ルーアを馬鹿にしてきた人たちに後悔してほしい。
もちろん、そのカタルシスは用意されています。
でも終盤まで読むと、それだけではルーアは幸せになれないことが分かるんです。
もし本作が「奪われた恋を取り戻す物語」だったなら、ガロットが真実を知ってアリアンと別れ、ルーアに戻ってくるところがゴールになるでしょう。
ところがルーアは、そこを選びません。
これが重要です。
ルーアが本当に取り戻すものは、ガロットではない。
「誰と生きるのかを自分で決められる人生」そのものです。
この読み方は、ルーアの能力にもつながります。
彼女の治癒能力は、他人の痛みを自分へ移す力。
加虐能力は、自分が経験した痛みを他人へ与える力。
どちらも「ルーアが痛みを知っている」ことが力の根本になっています。
だから加虐能力は単なる攻撃魔法ではありません。
これまで傷つけられ、他人の苦痛まで引き受け続けたルーアの人生そのものが、反撃する力に変わった能力なんです。
ただし彼女は、その力を得たからといってアリアンと同じ人間にはなりません。
アリアンや神官長側は、他人の苦痛を自分の利益や権威のために利用しました。
一方のルーアは、復讐のために加虐能力を使いながらも、最終的には黒薔薇病の被害拡大を止めようとします。
この違いは大きい。
痛みを知っているから他人を支配する側へ回るのか、それとも痛みを知っているから同じ犠牲を止めるのか。
ルーアが後者を選んだことに、この物語の芯があると僕は考えています。
そしてもう一つ注目したいのが、ルーアの「頼り方」の変化です。
序盤のルーアは、ガロットを救う時もほぼ一人で命を削っています。
自分が苦しめば相手が助かる。
だから自分が耐えればいい。
そんな発想でした。
でも後半では、スウェンやシジーたちと役割を分け、情報を共有し、一人で全部を背負おうとしません。
これは戦力が増えたというだけじゃない。
ルーアにとって「誰かを信じる」という行為そのものが変化した証拠だと思うんです。
アリアンに裏切られた直後なら、「もう誰も信じない」となってもおかしくなかった。
でもルーアはそうならなかった。
盲目的には信じない。
それでも、自分で相手を見て選び直す。
その結果として築いたのがスウェンとの関係なんじゃないかな。
だからスウェンとの結婚は、王子と結ばれてハッピーエンドというだけではありません。
もう一度誰かを信じることを、自分の意思で選べるようになったルーアの到達点でもあるんです。
僕はここが、本作を普通の復讐漫画より一段深くしている部分だと思います。
傷だらけ聖女より報復をこめてのネタバレ結末まとめ
『傷だらけ聖女より報復をこめて』は、アリアンにガロット救出の功績と恋を奪われたルーアが、第二王子スウェンと手を組み報復を始める物語です。
しかし物語は個人的な復讐だけにとどまらず、レストアット家の死、黒い薔薇、研究者ロウゼン、黒薔薇病、神官長側の陰謀へと広がっていきます。
結末までの重要ポイントを整理すると、
- ガロットを瀕死から救った本当の人物はルーア
- アリアンはその功績を自分のものにしてガロットと婚約する
- ガロットは後に真実を知り、アリアンとの婚約を破棄する
- ただしルーアとガロットは復縁しない
- レストアット家の悲劇は黒い薔薇や神官長側の陰謀へつながる
- 黒薔薇病を利用して神殿とアリアンの権威を高める計画は阻止される
- 第109~113話周辺で神官長とルーアの家族をめぐる因縁が大きく決着する
- 第115話以降はトレビアーズ伯爵家とアリアンの崩壊が本格化する
- 第123話「因縁の終わり」でルーアとアリアンの長い対立が区切られる
- 第127~131話では報復後の世界やアリアンたちの末路が描かれる
- 本編第138話「傷だらけ聖女より」で物語は大きな区切りを迎える
- 外伝ではルーアとスウェンの新婚旅行が描かれる
- 最終的にルーアはスウェンと結ばれ、自分で選んだ人生を歩き始める
最初はアリアンへの「ざまぁ」を期待して読んでも、最後まで追うと作品の印象はかなり変わると思います。
敵を倒すことより、その後どう生きるか。
誰かから愛されることより、自分が誰を信じ、誰と生きるかを選ぶこと。
『傷だらけ聖女より報復をこめて』の本当のゴールは、そこにあるんじゃないかな。
よくある質問
『傷だらけ聖女より報復をこめて』でルーアを裏切ったのは誰?
ルーアの親友として振る舞っていたアリアン・トレビアーズです。
ルーアが命懸けでガロットを治療した功績を自分のものにし、ガロットとの婚約まで決まったことが、ルーアが報復を始める最大のきっかけになります。
ガロットはルーアが自分を助けたと知る?
はい。
物語が進む中でアリアンの言動に疑問を持ち、自分を瀕死の状態から救ったのがルーアだったと知ります。
その後、アリアンとの婚約は破棄されますが、ルーアと復縁する展開にはなりません。
アリアンは最後どうなる?
ガロットとの婚約だけでなく、彼女を支えていた信用やトレビアーズ伯爵家の立場も崩れていきます。
第119話「最終決戦」から第123話「因縁の終わり」にかけてルーアとの対立が決着し、その後の第131話「アリアンたちの末路」まで報復後の状況が描かれます。
神官長の黒薔薇病計画はどうなる?
黒薔薇病を利用して危機を作り、アリアンや神殿への支持を高めようとする計画は阻止されます。
神官長側が隠してきた事実は人々の前へさらされ、第109話「民の審判」から第113話「敵討ち」にかけて、ルーアの家族の死へつながる因縁にも大きな決着がつきます。
ルーアとスウェンは結婚する?
結ばれます。
本編第138話後の外伝第139話・第140話に相当する「新婚旅行編」で、二人が結婚後の関係へ進んだことが分かります。
原作は138話で完結?143話と144話の違いは?
Webtoon版の本編は第138話「傷だらけ聖女より」で大きな区切りを迎え、第139話以降は外伝です。
第139~140話は「新婚旅行編」、第141~143話は「聖女様の伝記編」。2026年9月時点では配信先によって143話、144話など話数表示に差があるため、利用するサービスで最新掲載状況を確認するのが確実です。
※PRを含みます。結末を知ったうえで「アリアンの嘘が崩れる過程や、ルーアとスウェンが結ばれるまでを最初から読みたい」という人は、最新の配信話数・料金・キャンペーン条件を確認してから利用してください。
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漫画レビュアー・コミック愛好家のジョウスターでした!
復讐の爽快感だけでなく、ルーアが「傷つけられた人生」から抜け出し、自分で未来を選べるところまで追うと、この作品のタイトルがより深く刺さってくるよ!

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