古い屋敷の台所で床下の気配を探る家政婦と物陰から様子をうかがう小人の緊迫した場面

『借りぐらしのアリエッティ』の家政婦・ハルの声優は樹木希林さんです。ハルは小人の実在を確かめようとしてホミリーを捕らえ、一家を引っ越しへ追い込みます。

この記事の要点は、次の3つです。

  • ハルの日本語版声優は俳優の樹木希林さん
  • ハルは小人の存在を確かめるため、母親のホミリーを捕らえる
  • 日常的な家政婦だからこそ、アリエッティ一家にとって逃げにくい脅威になる

ここからは、公式情報と映画本編で確認できる描写を分けながら、ハルの役柄、小人を捕まえようとした理由、樹木希林さんの演技の魅力を整理します。

『借りぐらしのアリエッティ』ハルの声優は樹木希林さん

『借りぐらしのアリエッティ』で、古い屋敷に勤める家政婦・ハルの声を担当したのは、俳優の樹木希林さんです。

スタジオジブリ公式作品ページでは、本作が2010年7月17日に公開され、米林宏昌さんが監督、宮﨑駿さんが企画・脚本を担当したことが掲載されています。声の出演者にも樹木希林さんの名前が明記されています。

ウォルト・ディズニー・スタジオのジブリ作品紹介ページでは、役名まで含めて「ハル:樹木希林」と確認できます。

主な日本語版キャストは次のとおりです。

  • アリエッティ:志田未来さん
  • 翔:神木隆之介さん
  • ホミリー:大竹しのぶさん
  • 貞子:竹下景子さん
  • スピラー:藤原竜也さん
  • ポッド:三浦友和さん
  • ハル:樹木希林さん

日本映画製作者連盟などが運営に関わる日本映画データベースでも、樹木希林さんがハル役として掲載されています。原作は英国の作家メアリー・ノートンによる児童文学『床下の小人たち』です。

樹木希林さんの起用について、制作側が「なぜハル役に選んだのか」を詳細に語った公式コメントは、今回確認した公開資料の範囲では見つけられませんでした。

一方、スタジオジブリの公式制作日誌には、2010年5月に樹木希林さんのアフレコが行われたことが記録されています。つまり、樹木希林さんが実際にハルの音声収録へ参加したことは、公式の制作記録からも裏付けられます。

ここから先の声の表現に関する記述は、収録時の本人発言ではなく、映画を鑑賞した筆者による演技分析です。

樹木希林さんのハルは、いかにも悪役らしい低い声や大げさな笑い方で恐怖を作りません。

普段は少しかすれた声で、独り言を挟みながら家事を進めます。屋敷で毎日働いている人の呼吸が、そのまま声になっているように聞こえるんです。

ところが、小人の手がかりを見つけた瞬間だけ、話す速さや語尾の温度がわずかに変わります。

声を張り上げていないのに、「この人は本気で床下を調べる」と分かる。日常の声に執念が混ざっていく演技こそ、樹木希林さんがハルへ与えた最大の魅力だと僕は感じました。


ハルはどんな役柄?屋敷の日常を管理する家政婦

ハルは、翔が療養のために訪れる古い屋敷で、掃除や食事の支度などを担っている家政婦です。

屋敷では翔の大叔母にあたる貞子と会話を交わし、台所や廊下を慣れた様子で動き回っています。

映画本編で重要なのは、ハルが単に屋敷へ出入りする人物ではなく、家の中の日常的な変化を発見できる立場にいることです。

アリエッティたち小人の一家は、屋敷の床下に住んでいます。

家族は14歳の少女アリエッティ、父親のポッド、母親のホミリーの3人。人間の家から角砂糖やティッシュなど、暮らしに必要な物を少量だけ持ち帰り、それを「借り」と呼んで生活しています。

小人には、人間に姿を見られてはいけないという厳しい掟があります。

人間に存在を知られた場所には住み続けられないため、発見されることは「少し困る」程度の事件ではありません。家族全員が住み慣れた家を捨てることにつながる、生活上の重大な危機です。

そんな小人たちにとって、ハルは非常に相性の悪い人間でした。

ハルは台所を使い、食料や道具を管理し、屋敷の中を自由に歩きます。小人が何かを借りれば、その小さな変化に気づく可能性があるんですよね。

たまに屋敷へ来る訪問者なら、隠れてやり過ごせるかもしれません。

しかし、ハルは毎日の暮らしを観察する側です。床下にいるアリエッティたちが人間の行動を読んでいる一方で、ハルも家の異変を見つけようとしています。

僕はこの関係を、観察する者同士の対立だと考えています。

体の大きさでは人間のハルが圧倒的に有利ですが、物語の緊張感を生んでいるのは腕力ではありません。どちらが先に相手の存在や行動を見抜くかという、静かな追跡戦になっているんです。


ハルはなぜ小人を捕まえようとしたの?

ハルが小人を捕まえようとした直接の理由は、屋敷に潜む小さな存在を見つけ、その実在を確かめようとしたからです。

映画本編では、ハルの過去が長い回想として詳しく説明されるわけではありません。

そのため、「昔から小人を見たと訴えていた」「誰にも信じてもらえなかった悔しさがあった」といった背景を、映画内の明確なせりふだけで断定するのは慎重であるべきでしょう。

本編で確認できるのは、ハルが屋敷の異変へ強い関心を持ち、小人の痕跡を探し続けていることです。

彼女の行動を時系列で整理すると、次のようになります。

1. 屋敷の中に小さな何かがいると疑う
2. 翔の様子や家の中の異変から疑いを強める
3. 床下や家具の周辺を調べ、小人の住居を探し当てる
4. 住居に残っていたホミリーを捕らえ、瓶の中へ入れる
5. 翔を部屋へ閉じ込めたうえで、害獣駆除を扱う業者へ連絡する
6. アリエッティと翔が協力してホミリーを救出する
7. 業者が到着した時点では小人の姿がなく、ハルの計画は失敗する

この一連の流れを見ると、ハルの目的は金銭や屋敷の所有権ではありません。

彼女は「小人がいる」という自分の疑いを、目に見える証拠によって確かめようとしています。

ただし、そのためにホミリーを瓶へ閉じ込め、本人の意思を無視したことは明確です。

ホミリーは珍しい昆虫や収集品ではありません。夫のポッドと娘のアリエッティを心配し、突然の事態におびえる、一人の母親です。

ところが、ハルの目にはホミリーが「話を聞くべき相手」ではなく、「小人が実在したことを示す証拠」として映っているように見えます。

ここが、ハルを怖い人物にしている最大のポイントじゃないかな?

ハルは最初から小人一家を苦しめる計画を立てていたわけではありません。

自分の疑いを証明したい気持ちが膨らんだ結果、目の前の相手にも暮らしや家族があることを想像できなくなっています。

壮大な目的を持つ悪役ではなく、日常的な好奇心と自己正当化が暴走する人物だからこそ、妙に現実味があるんです。


ハルは悪役?翔との違いと物語上の役割

ハルはアリエッティ一家を追い詰めるため、物語上は敵役に当たる人物です。

小人の住居を探し、ホミリーを捕らえ、翔を部屋から出られない状態にし、外部の業者へ連絡します。

主人公側から見れば、明確な脅威ですよね。

ただし、本作はハルを、常に他人を苦しめる極悪人として描いてはいません。

小人が関係しない場面では、屋敷の仕事をこなす、ごく日常的な家政婦です。少し口うるさく、好奇心が強く、思いつくとすぐ行動する人物として登場します。

この「普通の人らしさ」が、ハルの怖さを強めています。

最初から恐ろしい人物なら、アリエッティたちも視聴者も警戒できます。

ところが、ハルは屋敷の日常の中にいます。食事を作り、掃除をし、何げない会話をしながら、少しずつ小人へ近づいてくるんです。

ハルの役割を理解するうえで重要なのが、翔との違いです。

翔もまた、アリエッティ一家の生活へ無断で介入しています。

翔は小人たちを助けたいと考え、人形の家にあった立派な台所を床下の住居へ設置しようとしました。

悪意からではありません。

「もっと便利に暮らしてほしい」という善意による行動です。

しかし、小人の側から見れば、人間が住居の位置を把握し、壁や天井に手を加えること自体が危険です。

翔の善意とハルの執着は、出発点では正反対でしょう。

それでも、相手の事情を確認せず、自分の判断で小人の生活を変えようとした点は共通しています。

二人を分けるのは、間違いに気づいた後の行動です。

翔はアリエッティの話を聞き、自分の行為が一家を怖がらせたことを理解します。その後は自分の考えを押しつけるのではなく、ホミリーを助けるためにアリエッティと協力しました。

一方のハルは、捕らえたホミリーと対話しようとしません。

相手の名前や家族、床下での暮らしよりも、「自分は本当に小人を見つけた」という事実を優先します。

つまり、本作で問われているのは、小人の存在を信じられるかどうかだけではありません。

自分とは異なる存在の言葉を聞き、自分の行動を改められるかが、翔とハルを分けています。

そして、ハルの行動は物語を大きく動かします。

住居を発見されたことで、ポッドたちは屋敷を離れる決断を固めます。アリエッティ一家は野外で暮らす小人の少年スピラーを頼り、新しい住処へ向かうことになりました。

もちろん、結果として旅立ちが生まれたからといって、ハルによる捕獲が正当化されるわけではありません。

それでも物語の構造では、ハルが床下の安定した暮らしを終わらせ、アリエッティを未知の世界へ押し出す役割を担っています。

敵役が主人公の旅立ちを促すのは、漫画やアニメでよく使われる構造です。

本作で面白いのは、それが戦場や王国ではなく、台所、廊下、床下という身近な場所で起きること。ハルは日常そのものを危険な空間へ変える、作品らしい敵役なんです。


樹木希林さんの演技はなぜハルに合っていた?

樹木希林さんの演技がハルに合っていた理由は、普通の生活者らしさと小人への執念を、一つの声の中で両立させているからだと僕は考えています。

これは制作側が公表した起用理由ではなく、映画を繰り返し鑑賞したうえでの筆者の評価です。

ハルは、登場した瞬間から悪役だと分かる話し方をしません。

家事をしながら独り言をつぶやき、貞子や翔へ遠慮のない口調で話します。せりふを整然と読み上げるというより、その場で思ったことがそのまま口から出ているような自然さがあります。

この自然さによって、ハルは物語を進めるためだけに配置された追跡者ではなく、以前から屋敷で働いてきた人物として立ち上がっています。

そして、小人の痕跡を見つけた場面では、声質を大きく変えないまま興奮が加わります。

語尾が少し弾み、動きと話すテンポが速くなる。それだけで、「ついに見つけた」という高揚が伝わってくるんです。

もしハルが最初から恐ろしい声で演じられていたら、視聴者はすぐに敵だと判断できたでしょう。

しかし、樹木希林さんのハルは、最初は屋敷の日常風景の一部に見えます。

そこから観察力やしつこさが少しずつ前面へ出てくるため、アリエッティたちと同じように、視聴者も途中から「この人に気づかれたら危ない」と感じます。

僕が特に印象的だと思うのは、ハルの滑稽さと怖さが分離していない点です。

床下をのぞき込む姿や、小人を見つけて夢中になる様子には、どこかコミカルな雰囲気があります。

しかし、その行動によってホミリーは家族から引き離され、アリエッティ一家は家を失います。

笑えそうな動きのすぐ隣に、生活を壊される恐怖があるんです。

樹木希林さんは、ハルを「怖い家政婦」という一色で塗りつぶしていません。

好奇心、口うるささ、執念深さ、思い込みの強さ、少しの愛嬌。その複数の要素が同時に聞こえるから、公開から年月がたっても強く記憶に残るのでしょう。

※画像はAIによるイメージ

原作の家政婦とハルの関係は?

『借りぐらしのアリエッティ』の原作は、メアリー・ノートンの児童文学『床下の小人たち』です。

映画では英国の物語を現代の日本へ移し、古い屋敷の床下で暮らす小人一家と少年・翔の交流として再構成しています。日本映画データベースでも、原作名と、舞台を現代日本へ移した作品であることが紹介されています。

原作には、小人の存在を疑って追い詰める家政婦ミセス・ドライヴァーが登場します。

映画のハルは、小人を探す家政婦という物語上の機能を受け継いだ人物と読み取れます。

ただし、これは映画公式が「ハルはミセス・ドライヴァーをそのまま移した人物」と細部まで定義した説明ではありません。

本記事では、原作と映画で共通する役割や行動から、そのように解釈しています。

映画版で特に効果的なのは、ハルが日本の屋敷の日常へ完全になじんでいることです。

台所で食事を作り、家の中を掃除し、物の位置や異変を把握しています。外から突然やって来る悪人ではなく、人間の暮らしを維持する側の人物なんです。

この設定には、少し皮肉があります。

ハルは屋敷の人間にとって、日常を支える存在です。

しかし、同じ屋敷の床下で暮らす小人にとっては、食料や道具の小さな変化を発見し、暮らしを壊しかねない存在になります。

人間の日常を守る仕事が、小人の日常を見破る力になる。

この二面性が、映画版のハルを単純な追跡者以上のキャラクターにしています。


ハルという人物から見える本作のテーマを考察

ここからは、映画本編を踏まえた僕なりの考察です。

ハルという人物が示しているのは、存在を発見することと、相手を理解することは別であるという事実ではないでしょうか。

ハルは、屋敷に小人がいる可能性を疑い続けました。

そして実際に床下の住居を見つけ、ホミリーを捕らえます。「小人がいる」という一点だけなら、彼女の推測は正しかったわけです。

しかし、正しい発見をしたからといって、その後の行動まで正しくなるわけではありません。

ハルはホミリーの言葉を聞こうとせず、家族のもとへ帰りたいという事情も考えません。

自分の予想が当たった喜びによって、目の前にいる小人を一人の存在として見る視点を失っています。

僕がハルを単純に「性格の悪い人」で終わらせたくないのは、この危うさが誰にでも起こり得るからです。

何かを証明したいとき、人は自分に都合のよい情報ばかりを集めてしまいます。

そして「自分は正しかった」という結論を急ぐあまり、関係する相手の気持ちや生活を置き去りにすることがあります。

ハルは、その心理を極端な形で見せる人物です。

一方、翔も最初から完璧な理解者ではありません。

小人を助けたいという善意から、住居へ勝手に手を加えてしまいます。

大切なのは、翔が失敗しなかったことではなく、アリエッティの反応を受けて考え直したことです。

ハルは「見つけた自分」を中心に行動し、翔は少しずつ「見つけられた小人」の立場へ視点を移します。

この違いによって、翔はアリエッティの名前を呼ぶ友人となり、ハルは一家から逃げられる追跡者になります。

また、ハルの存在は、小人たちの暮らしが抱える根本的な不安定さも浮かび上がらせます。

床下の家は、アリエッティにとって生まれ育った故郷です。

植物や人間から借りた道具で飾られ、家族の思い出が詰まっています。

しかし、その豊かな暮らしは、人間に発見されないことを前提にしています。

どれほど工夫して快適な家を作っても、人間が床板を一枚動かせば失われる可能性があるんです。

ハルは、圧倒的な体格差と生活圏の違いを、最も現実的な形で示す人物でもあります。

だからこそ、アリエッティ一家の引っ越しには寂しさだけでなく、希望も感じられます。

スピラーと共に屋敷の外へ出ることで、家族は新しい土地や、ほかの小人と出会える可能性を手にします。

ハルは一家の平穏を壊した敵役です。

同時に物語上では、アリエッティが安全な床下から広い世界へ踏み出すための、避けられない転換点にもなっています。

個人的には、ハルを見ていると「理解しないまま近づくこと」の怖さを感じます。

小人を信じるだけでは足りません。

珍しい存在を見つけたと興奮するだけでも足りません。

相手にも名前があり、家族がいて、守りたい暮らしがあると想像して初めて、異なる存在との関係が始まるのではないでしょうか。

樹木希林さんの生活感あふれる声が、そのテーマを説教ではなく、屋敷の日常の中から伝えているように思います。


まとめ

『借りぐらしのアリエッティ』で家政婦・ハルの声優を担当したのは、俳優の樹木希林さんです。

スタジオジブリ公式作品ページやディズニーの作品紹介、日本映画データベースでも出演を確認できます。映画は2010年7月17日に公開され、米林宏昌さんが監督、宮﨑駿さんが企画・脚本を担当しました。

ハルは屋敷の異変から小人の存在を疑い、床下の住居を探し当てます。

その後、母親のホミリーを瓶へ閉じ込め、翔を部屋に残したまま業者へ連絡しますが、アリエッティと翔の協力によってホミリーは救出されました。

ハルが小人を追う中心的な動機は、自分が感じていた気配の正体を確かめ、小人の実在を証明しようとする執着です。

物語上は明確な敵役ですが、金銭や権力を求める典型的な悪人ではありません。

屋敷の日常を支える普通の家政婦が、相手を理解しないまま自分の正しさを追い求める。その身近な危うさが、ハルの怖さにつながっています。

樹木希林さんは、自然な会話の間や独り言のような口調を使い、ハルの生活感、好奇心、滑稽さ、執念を一つの声に同居させました。

声優と役柄を意識して見直すと、ハルが単なる「小人を捕まえる怖い家政婦」ではなく、翔との違いや本作のテーマを浮かび上がらせる重要人物だと分かりますよ!


よくある質問

『借りぐらしのアリエッティ』のハルの声優は誰ですか?

日本語版でハルの声を担当したのは、俳優の樹木希林さんです。スタジオジブリやディズニーの公式作品情報でも確認できます。

ハルはなぜ小人を捕まえたのですか?

屋敷に小人がいるという疑いを確かめ、その実在を証明しようとしたためです。ハルは床下の住居を発見し、残っていたホミリーを瓶へ閉じ込めました。

ハルは『借りぐらしのアリエッティ』の悪役ですか?

アリエッティ一家を追い詰めるため、物語上は敵役です。ただし、典型的な極悪人ではなく、好奇心と執着によって相手の事情を見失った日常的な人物として描かれています。

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